Posted by 大木 義昭 - 人材業界担当 インダストリーアナリスト

株式会社リクルートジョブズと Google が実施した、「YouTube TrueView インストリーム広告」と「検索広告用リマーケティング リスト」を組み合わせたキャンペーン事例についてご紹介させていただきます。




取り組みの背景

株式会社リクルートジョブズは『タウンワーク』『フロム・エー』『はたらいく』など日本最大級の求人媒体を運営し、アルバイト、パート、派遣から正社員まで、人材採用に関する総合サービスを展開しています。

これまで同社は、テレビ CM 、オンライン広告など様々なメディアでの広告を展開する中で、テレビの閲覧傾向が低い若年層や YouTube が抱える幅広いユーザー層へのリーチを目的として、TrueView 広告を活用してきました。それぞれのメディアで独自の投資指標を持ち投資を行ってきた同社にとっての次の課題は、TrueView 広告の投資指標を確立させ、マーケティングプランに組み込むことでした。

こうした背景のなか、同社の「認知→比較検討→応募」というマーケティング プロセスの中で、「比較検討→応募」の部分に着目しました。そして、「アルバイト」と検索した際に同社の広告を選択する確率は、TrueView 広告を閲覧していないユーザーよりも、閲覧したユーザーのほうが高くなるのではないか、という仮説を持っていました。

そこで、この仮説を検証するため、同社と Google の共同で、TrueView 広告と「検索広告用リマーケティング リスト(以下、RLSA : Remarketing Lists for Search Ads)」を活用し、TrueView 広告閲覧者と非閲覧者の検索行動の分析を実施しました。

その結果、TrueView 広告閲覧者が検索連動型広告に接触した際のクリック率は、TrueView 広告非閲覧者よりも高くなることがわかりました。つまり、TrueView 広告が『タウンワーク』の「興味喚起」「利用意向」の向上に貢献しただけではなく、実際に『タウンワーク』の「サイト利用」に貢献していることが、広告の配信結果から明らかになりました。

検証方法

今回の検証は、2013 年 9 月に以下の 3 つの手順で実施いたしました。

①『タウンワーク』を訴求する TrueView 広告を配信
② TrueView 広告で接触したユーザーのリマーケティング リストを元に、RLSA で検索連動型広告を配信
③ キーワード「バイト」「アルバイト」で検索連動型広告を配信し、4 週間にわたりクリック率(*1 )を計測

この検証の手段として活用した RLSA は通常、広告主様のウェブサイトでのユーザーの行動履歴に基づいて、検索連動型広告のクリエイティブや入札単価を変更する機能として利用されています。

しかし今回は Google の協力により(*2 )、TrueView 広告閲覧者のその後の検索行動を計測する目的での利用が可能となりました。

*1 TrueView 広告閲覧者グループと TrueView 広告非閲覧者グループに対して、同一の条件下(期間、キーワード、掲載順位、ターゲティング設定)で広告配信を行い、クリック率を算出。
*2 今回は専用の計測環境を用意して RLSA による広告配信を実現。なお、通常の動画リマーケティング リストは RLSA には対応しておりません。 


  RLSA 対象キーワード:「バイト」および「アルバイト」(いずれも完全一致)

検証結果

TrueView 広告を閲覧したユーザーは、閲覧していないユーザーに比べて、クリック率が32.5% 上昇しました。この結果から、TrueView 広告が、その後のオンライン行動におけるクリックへも好影響を及ぼしうるという示唆を得ることができました。

※ TrueView 広告非閲覧者のクリック率を 1 とし、TrueView 広告閲覧者と比較


成功のポイントと今後の展開 

「リクルートジョブズでは、テレビ CM 等のマス広告とオンライン広告の企画・運用を同一の部署・戦略で実行しており、オンラインにおけるアクションを KPI としながら、随時広告予算を変動させています。かねてより TrueView 広告に代表される動画広告の効果の可視化が課題となっておりましたが、リマーケティング リストの活用に着眼し、一定の効果を可視化することができました。今後は、よりターゲットを絞った動画の制作など動画広告を更に拡大したいと考えております。」
(メディアプロデュース統括室 マーケティングG グループマネジャー 板澤一樹 様)

(左:株式会社リクルートジョブズ メディアプロデュース統括室 マーケティングG グループマネジャー 板澤一樹 様/
右:株式会社リクルートジョブズ メディアプロデュース統括室 マーケティングG 金井統 様)

RLSA を活用し、TrueView 広告を閲覧した大規模なユーザー層の一定期間の検索行動を分析することで、TrueView 広告閲覧者の利用意向が、非閲覧者と比べて高まることがわかりました。「認知→比較検討→アクション」というプロセスの中で、これまで TrueView 広告が認知向上に効果があることがわかっていましたが、「比較検討→アクション」の過程においても貢献することが新たに示されました。

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株式会社リクルートジョブズ

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